なんとも優しく、たおやかな、夏草の煎茶器揃です。 ［清水焼　京都泉湧寺・平安洛山窯・三代目　富田一嗣作］ 自然の中に身をおき過ごす私は、この夏の野の花、つゆくさ・ネコジャラシ（エノコログサ）・アカマンマ（タデ）の煎茶器を見た時、息がとまりました。 「ここまで、夏草を美しく描いた器とは、もう出会えないかもしれない」と、清水の舞台から飛び降りる気持ちで、どうしてもほしくて、喜んで購入しました。 が、しかし、実は私には煎茶のたしなみがなく、それでも馴染みがあったのは、祖父が煎茶をたしなんでいたからだと、購入後、しばらくしてから気がつきました。 時に出しては、美しい器をながめました。 そのため、「未使用に近い」とさせていただきました。 器の肌の色、花の色や姿、うっとりするくらい美しいのに、華美でなく、どこまでも優しく控えめなのは、野の花のせいでしょう。「夏草」とした御題にも魅かれました。 茶器のうち一つだけ、取り出す時に欠けたものがありますので、それだけ残させていただきます。 購入価格は当時、確か5万円くらいだったと思います。 どうぞよろしくお願いいたします。